渋谷ゆり『Ten Years After』
(Document Marker)
W175×H230mm(B5判変形)
中綴じ
32ページ
モノクローム
2024年
ISBN 978-4-911337-05-9
ヨセミテに長期滞在するクライマーたちがテントを張るサイト『CAMP4』をテーマにした写真集を編んでから、10年が経った。渋谷ゆりとヨセミテとの関わりは、より深く密になり、知己も増えた。この期間で撮影したのは、「さまざまな意味で自分をインスパイアしてくれる人」という。つまりは、ヨセミテの岩との向き合い方を指すのかもしれない。シーズンになれば1ヶ月以上も滞在し、長くヨセミテに身を浸すクライマーたち。誰もきれいな服は着ていない。指先、体と同じだけ使い込んだ服を纏い、腰にはチョークバッグを括り付けている。中には敬愛する世界的なクライマーも写っているが、重要なのは、大いなる流れに身を委ねる歓びを体現しているかどうか。クライミングはそのための手段であり、目的であると知っている人々との出会いは、自分だけが知る「岩」を写すのに近しいという。ヨセミテという土地が引き寄せて育む感性は、人を純粋に、剥き出しにする。
渋谷ゆり(しぶや・ゆり)
東京都出身。武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒業。大学在学中から世界各地を旅しながら独学で写真を撮り始める。1996年に初めて訪れたニューヨークでスケートボードに出会い、その後ニューヨークと東京を往復しながら制作活動を続ける。作品の発表手段として 1998年よりZINE の制作を続け、2003年~2009年まで "ART BY XEROX” よりサポートを受ける。2010年からヨセミテに通い作品制作を続け、2014年写真集『CAMP4』を発表。現在はカルフォルニアを拠点に活動する。
https://www.yurishibuya.com/